赤い光が目の片隅に飛び込んできた
とっさに振り向く先に見えたのは
秋色深まる木の葉の前で燃え立つまっ赤なサルビア
「あっ、黒井さんの赤いサルビアだ!」
瞬時にあの詞が蘇る
舌癌の手術後、
話すことができなくなった黒井さんが出会った
あの「赤いサルビア」
「青春時代の恋心
日射し強いセンター花壇の散策に
ひときわ赤く咲いたサルビアを見つけた
なんと美しい花だろうと思った
幼少より好きだった
花は忘却のかなたに置かれていた
でも青春時代の薄い恋心を思い出す
何時迄も咲いていてほしいものだ
老人のたわごと笑ってすます
10月14日 黒井一」
黒井さんがこの詞をお書きになったのは、
10年前の10月14日
今日は、2000年10月13日
鳥肌が立つ
嬉しいんだろうか
悲しいんだろうか
それとも何だろう
日付けの共時性にどぎまぎしながら
私の心がサルビア色にどっぷり染められる
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